講義受講生の皆様へ

皆さんに最も伝えたい事が、講義中にあまりうまく話せませんでした。
皆さんに伝えたかった現在の気になる現象やニュースなどと、8.「地産地消と環境問題、食料問題、循環型農業の関連について」内容をまとめ直して最後に記載しました。ぜひ、しっかりと確認してください。

また、講義後に記入していただいたアンケートに記載されていた質問にお答えできる範囲で、9.「皆さんからの質問と返答」 にまとめました。ご確認ください。

食品流通の現場と農の現場 2007.6.11講義資料 森田英治

1.地産地消の説明と最近の変化

すでに「地産地消」ということについては、いろいろとお聞きになられてご存知だと思いますが
私が思うに、「地産地消」は、使われるその人の考え方や立場によって違いがあるように思います。
そこで私は、食品流通の現場で使われる「地産地消」と農業の現場で使われる「地産地消」についての考え方は、どのようなものなのかについてお話したいと思います。
ここに書いた内容は、私自身の食品スーパーにおける15年間の勤務経験と生産者としての7年間の食品スーパーへの直接納品などから感じた情報を中心に、農業新聞や書籍などから得た情報などを私なりに考えて書きました。まず、一般的に言われる地産地消とは、何かを調べてみました。

農業新聞より抜粋(何人かの専門家のご意見)
地産地消活動は、地域の消費者、学校や企業(流通、外食、加工サービスなど)が一体になって「高付加価値型の地域循環環境保全農業」を構築するための道筋づくりの活動である。日本の農業を根本的に変革し、新しい農業・農村社会を築く活動だ。
このように地産地消を考えるとこども達への「食農教育」、消費者への「農」と「食」と「健康」と「環境」の関する啓発、提案活動、エコ農業、リサイクルの推進がある。
多面的で抽象的な言葉なので、色々な方向からとらえて活動がされています。

ただ、近年の急激な変化今年に入ってからのいろいろなニュースを見て、私自身が地産地消という言葉をより広く考えるようになりました。
「食と農に関しての地産地消」という意識から「エネルギーや資源などを含めて生活全体の地産地消」という意識を強くもつようになりました。世界の資源の状況を考えると、足りない資源を輸入するという意識から、入ってこないと考えて、自国で対応できる方法を考える時期にきていると思います。特に、エネルギーは、太陽光発電や風力発電などで地産地消できるように工夫する時代になってきたと感じています。
最近の情報として、人口13億人の中国が食料輸入国になったことや食料だけでなく肥料の原料や各種資源で競合し、価格が高騰し、購入しにくくなっていることや、人口11億人のインドの発展など牛肉1kgを得るには、11kgの穀物がいるという情報などを冷静に考えると、すべきことがみえてきます。

2.食品流通の現場における「地産地消」の考え方

食品販売店にとっての「地産地消」とは、どういう事しょうか。
それは、「地産地消」が売り上げにどのようにつながっていくかが大切なポイントとなります。
最近は、食品販売店で「地産地消」やそれに近い言葉が多く使われるようになりました。
そこには、消費者の「地産地消」という言葉の持つイメージが影響していると思われます。
消費者が持つ「地産地消」のイメージには、新鮮・安全・安いがあると思われます。
この新鮮・安全・安いというイメージは、食品販売店がアピールしたいイメージそのものですので、よく使われるようになってきたのではないでしょうか。
「地産地消」という言葉よりわかりやすい、「地場産野菜」「地物」などの言葉を使ったりコーナーを作って顔写真を載せたりしてPRされています。実際に野菜売り場では、地物コーナーの売り上げだけが、伸びているという話も聞きます。
ただ、食品販売店においては「地産地消」はイメージつくりの大切な要素ですが、売上げの中心にはなっていません。
その原因として、三重県は農産物の栽培品目があまり多くないので品目や量が揃わないことがあります。特に特売(チラシ広告などによる)の売上げ比率が高い大型店では、他府県の大産地の物が多いです。
また、地物コーナーは、売りれになる(売り切れでもOK)ことが多いようです。売り切れでもOKな理由は、それによって新鮮というイメージを消費者にもってもらえるためです。ただし、品目としては品切れしないように、冷蔵コーナーなどに同じ種類の野菜があります。地物コーナーの仕入れ方法についても少し説明しておきます。
地物コーナーの仕入れ方法は、通常、委託販売と買取の方法があります。委託販売は、一定の手数料(販売金額の2割前後)を払うことで、野菜を置く場所を借りて売ってもらう方法です。もし、売れ残ったら農家の引き取りになりますので、売れそうな数を予想して持ってきますが、売れ残らないように控えめな数量になってしまうため売切れになりやすくなります。買取は、お店が買取って販売する方法で残った場合は、お店の責任で販売することになります。そのため、買取数量はお店の指定数量になりますし、価格も条件が厳しくなります。

3.農業の現場における「地産地消」の考え方

農業の現場にとっての「地産地消」とは、どういう事でしょうか。
農業の現場といってもいろいろとあります。
米・野菜・果実・花・茶・などの栽培品目の違いや、有機栽培・特別栽培・水耕栽培などの栽培方法の違いもありますし、経営規模や販売(流通)方法の違いもあります。それらの違いのなかで生産者が「地産地消」ということに意識が高くなると思われるのは、販売方法の違いではないかと思います。
その理由としては、ファーマーズマーケットなどの直売所を中心に直接的な販売をされている生産者の方の販売先は近隣が中心で、地元の消費者の方に地元の生産物を選んでもらえれば、自分の販売に有利になるわけで、「地産地消」は自分に有利だと感じられるわけです。逆に農産物を大市場へ出荷されている生産者の方は、自分の販売に有利性のない「地産地消」にはあまり意識しないのではないでしょうか。農業の現場にとっても、食品販売店とおなじで売り上げにつながるかが重要になっていると思います。
私自身も、市場を通さずにファーマーズマーケットなどで消費者に直接販売する販売方法を選びましたので、「地産地消」という言葉に対して敏感だったと思います。
それで、できたばかりに地産地消ネットワークみえに興味を持ち、早くからイベントなどに参加して「地産地消」の活動に協力してきたところもあります。しかし、実際に「地産地消」の活動にかかわったり、「地産地消」の良いところを私なりに考えてるようになると、「地産地消」の最大の有利点は、鮮度だと考えるようになりました。
今朝、収穫した農産物がその日のうちにお店に並び食べられる。これができるのは、「地産地消」だけなんです。このことは、消費者に重要な有利点であると思います。また、生産者にとっても他産地の生産物にはまねのできない鮮度を提供することで競争力の強い生産物になると考えるようになりました。

4.私の農業体験

食品スーパー勤務から農業への転職
11月で、農業を始めて8年目になります。その前は、地元の食品スーパーマーケットに15年間勤め
ました。
そこでは、日用雑貨やお酒、また日配という部門の仕入れ(バイヤー)もしましたし、販売促進やカード導入という店舗支援部門、また販売には関係のない人事部門にもいました。一番長かったのがお店の店長という仕事で、お客様の立場になって考えるようになったのはこのときからだと思います。
お客様(店長)の立場でお店を見たときに、一番不満に感じたのが新鮮な野菜が少ないということでした。
しかし、鈴鹿市は野菜を作っている農家が少ないうえに市場出荷が大半でしたので野菜のバイヤーに頼んでも、鮮度の良い野菜はなかなか入ってきませんでした。そこで、鮮度の良い野菜を提供できれば、専業農家でもなんとか生活できそうかなと、考えたわけですが、全国的に専業農家が減り続けている状況から考えても、農業で食べていくのは、厳しいという現実があり不安もありました。
それでも、農業を始めたのは、自分の責任で決められ結果も自分の責任であるという自営業の魅力と、新鮮なおいしい野菜を提供したいという思いや今後、外国から食料が輸入しつづけられなくなるだろうという推測から決心しました。

自分の販売方法が地産地消

上記にも書きましたが、鮮度の良い採りたての野菜をお客様に提供したいという考えがありましたし、また価格決定権が自分にない市場を経由した従来の方法はいやでしたので、お店へ直接納品できるようにしました。
委託販売にすることで、価格の決定に自分の意思が反映できました。鮮度では一番になるため、早朝に収穫してその日の10時前後にお店に納品するように作業を組み立てました。(収穫がしやすい栽培方法の考案など)農業で生活していくために、また消費者に鮮度の良い野菜を届けたいとはじめた流通経路や販売方法が、「地産地消」の有利点を生かす方法だったわけです。参考資料として流通経路と条件や注意点を簡単に説明すると参考資料のようになります。

参考資料(流通経路別のポイントや条件)

販売(出荷先) 選別 ポイント 条件 お客様
農協 共同 個人の努力が表にでにくい
全量出荷できるが、選別外が多くなる
買取 市場
市場 個人 価格が不安定 買取 市場
量販店 個人 価格出荷数・がお店主導
価格・出荷数に個人の意思が反映する
買取
委託販売
消費者・店
消費者
直販売 個人 手間がかかるが利益率は高い 消費者

自分の栽培方法
「地産地消」とはあまり関係ないですが、朝収穫を簡単にするための栽培方法の工夫などを少し紹介します。
私の栽培の中心は、葉物野菜です。葉物野菜は、鮮度による品質の差が大きいことと栽培期間が短いので栽培の中心に選びました。
また、お店に野菜を安定的に納品するため、ビニールハウスを効率よく活用するため、朝の収穫作業を簡単にするために、独自に考案した器具を使い移植栽培という方法で栽培しています。安定的に納品するための工夫としては、毎日必要量を稲の育苗箱に種まきし定植していくことで、生育が順次になり、ほぼ安定して収穫できるようになります。効率については、栽培期間の4割程度を育苗をすることができるので、移植栽培は直播栽培と比べて1.5倍以上の量を栽培することができます。
最後に、独自に考案した器具(リングポット)を使うことで、茎折れしやすい朝の収穫時にポットを持って収穫することで茎折れしにくくなりますし、土汚れもつきにくくなり水洗いをしなくてもいいことで作業が少なくなります。それ以外にも、このリングポットの利用で根腐れの心配がほとんどなく、しっかり水を与えられ、収穫後に、リングポットと一緒に残根を回収できますので病気の発生が抑えられます。

5.一般的な農業の経営と私の経営
前に専業農家で生活していくことは、難しい状況と書きました。どの程度の収入があるのかを、一般的な資料と自分の実績からすこし紹介してみます。
トマト栽培(半促成)の場合
1反あたり 1作の収穫量は 12000kg  250円/kg で1作 300万円
栽培面積が約3反の農家の場合で 年間 900万円の売上げですが
経費として、ハウス経費・燃料費・肥料費・販売経費などを引くと利益は5割以下になります。
きゅうり栽培(半促成)の場合
1反あたり 1作の収穫量は 10000kg  200円/kg で1作 200万円
栽培面積が約3反の農家の場合で 年間 600万円の売上げですが
経費として、ハウス経費・燃料費・肥料費・販売経費などを引くと利益は5割以下になります。
きゅうりは、他の作物も作っている場合が多いです。
小松菜栽培(雨よけハウス)の場合
1反あたり 1作の収穫量は 1500kg  300円/kg で1作 45万円
小松菜の場合は、栽培期間が短いので年間4作~5作の栽培になりますので
栽培面積が約3反の農家の場合で 年間540万円~675万円の売上げですが
経費として、ハウス経費・燃料費・肥料費・販売経費などを引くと利益は5割以下になります。
私の場合の経営内容を説明します。その詳細については次の通りです。

栽培規模と要員
18a強の雨よけビニールハウスでの季節野菜の無農薬栽培夫婦2人のフルタイム
家族の早朝手伝い3時間程度

栽培品目と時期
周年栽培  小松菜 みず菜 ルッコラ
冬季栽培  ほうれん
草夏季栽培  トマト ミニトマト きゅうり 枝豆 おくら

栽培方法
無農薬栽培 無化学肥料栽培

就農後 7年間の売上実績については、
1年目 260万円
2年目 430万円
3年目 510万円
4年目
5年目
6年目
7年目
人件費を除く経費は、売上げの約50%になっています。
このような売上金額で、人件費を雇入ですると、経営としてはかなり厳しい状況となりますので、家族経営になるわけです。ただ、収入は少なくても自由に仕事ができる魅力が大きいので続けていけるのでしょう。

今年の野菜の相場は、ずっと低迷していますので、kg単価は、より下がっています。今年の卸売市場は、物が少ないのに価格は低迷しているという異常な状態です。消費者のニーズが、半加工品に移行してきたことと、小売店の購買力パワーで価格が抑えられていることも、原因と思います。
市場経由での販売では、経営が成り立たないとの理由から市場を通さずに直接取引をする割合が増えていますし、さらにその傾向は強くなっていくと思います。農家としては、より消費者に近づいていくことになり、地産地消という販売形態にも進んできていると思います。その例が、ファーマーズマーケットであり、量販店の地場産品コーナーです。

6.今後の農業と自分の方向性について
今後の農業は、どのようになっていくのか、自分なりに考えてみました。現在、日本の食料自給率は40%で非常に低い状況です。また、外国による資源の購入意欲が強くなり、その競争が厳しくなってきています。
それは、鉱山や石油だけでなく食料資源も同じであり、近い将来、日本への食料・飼料の輸入が今までのようにできなくなる可能性が大きく、日本では、食料の自給を大きく増やすために、農業への規制が緩和され企業の参加が進むのではないかと考えます。
(農業を始める前は、農産物が不足して農業がいい時代がくるかななどと安直に考えていましたが、考えがかわってきました)
そのように企業が参加してきたときに個人の農業は、どうのようになるのかを考えると効率を追求してシステム化した農業は、企業のほうが得意であり個人の農業は厳しい状況になるのではないかと考えます。
しかし過去に、日本酒や味噌、しょうゆ、豆腐などの業種で、小さな企業が大手企業の進出で淘汰されるなかでも確実に生き残ってきた企業があります。それは、差別化された本物を作り続けているところです。
同じように農業の場合も、企業にまねのできない本物を作ることで生き残れると考えます。朝、採れたてての野菜をその日のうちに提供することができる「地産地消」の有利点を生かすことも差別化の大切な要素だと考えています。

7.最近とくに意識していること
市単位での食料の循環型地産地消の必要性消費者の生ゴミの活用、転作の有効利用、畜産飼料の生産、糞の肥料利用により生産から消費まで、穀物農家・畜産農家・消費者が一体となり、できるかぎり循環型の地産地消態勢を作っていくべきと考えます。
最近特に意識しているエネルギーの地産地消
原油価格の高騰で、バイオエタノール化への推進が言われ始め、世界の穀物の動きは大きく変わってきています。とうもろこしの価格が倍になり、他の作物(大豆など)から作付の変更があり、オーストラリアの干ばつで小麦粉の価格が上がり、日本の食料品の価格が上がっています。資源のない日本として他国に依存するのではなく、バイオエタノールの自給も含めてエネルギーの地産できる工夫をすべき時代に入ったと痛感しています。
ただ、バイオエタノールは、畜産飼料と競合するので太陽光発電を使っての地産地消を個人としても行うべきと考え、農業用ハウスの電気用として導入することにしました。

8.地産地消、循環型農業と環境問題や食料問題の関連について
昨年からの気になる現象・状況やニュース
中国関係
・人口13億人の中国が、食料輸出国から輸入国になった。
・中国と豪州産ロブスターや地中海マグロなどの買い付けで、負けだしている
・講義で話しましたが、NHKの番組によると北京付近の地域は、極端な水不足状態になっていて、いつ暴動(農地放棄)がおきても不思議でない状況にある。
・食が、穀物中心から肉食に変化していることでの食料不足の加速が考えられる。(牛肉1kgを得るのに穀物10kg以上の飼料が必要である)
・金属関係の資源だけでなく、肥料要素(窒素・リン・カリ)の買い付けも強化していて、肥料要素(窒素・リン・カリ)の価格も昨年対比で5割以上高騰している。
・一人っ子政策でのひずみが、出だしている。企業の中国進出は大丈夫?(農業ではなく、大学を出て就職を希望するために産業人口のバランスが崩壊)
(男女比率・年齢比率のバランスの崩壊)

米国関係
・とうもろこしのバイオエタノール化への政策で、現在15%程度の使用が今後30%になりそう。
・エタノール工場が建設されている以上は、その方向性は止まらないと考えられる
・とうもろこしの価格が昨年対比2倍になっているが、どこまで高くなるのか。
・とうもろこしの価格高騰で、大豆や菜種などから作付け変更が進んで、大豆・菜種の価格上昇。
・米国の畜産農家も飼料高騰で、困っている。

豪州関係
・昨年は、記録的な干ばつで、小麦の生産が激減した。
・上記、干ばつにより、畜産農家にも甚大な被害が発生し、廃業した農家も出ている。

日本関係
・10年前から食料自給率約40%のままで、政府が問題として対策を立てているのにUPせず。
・国産の牛・豚・鳥・卵の飼料は、米国産とうもろこしが主原料(9割程度)であり、輸入が止まれば、国産の牛肉・豚肉・鶏肉・卵の生産量は、約2割程度になるのでは?
・作りにくい農地や田舎の農地の放棄が、増加している。

世界関係
・世界で8億人以上が飢餓にあえいでいる
・世界の小麦在庫が過去最低の水準になっている。
・気温の上昇。
・異常気象の発生。干ばつ、洪水、台風の大型化など

こんな状況で、あなたは「それでも大丈夫」と思いますか、「何をしようか」と思いますか?

地産地消、循環型農業と環境問題や食料問題との関連について。

・地産地消という言葉の意味は、
「地域で採れた物を食べよう」という発想から「地域で消費(食べる・使う)するものは、地域で生産(作る)しよう」という発想へ変わるべきだと考えてます。
「地域の農家を守ろう」とか、「地域でとれたものを食べるのが体に良い」と言う考えか方から、他地域に頼らない(頼れない)生活を実現するための方法として地産地消を進めていくべきだと考えます。
地域にあるものを食べる(利用する)工夫をどう実践していくかが、今後の地産地消のあり方ではないのかと考えます。

・地域での循環型農業を目指す
食の地産地消、肥料の地産地消、生ゴミの活用で循環型農業を考える。
1.生ゴミの堆肥化で消費者の参加
2.生ゴミ堆肥や畜産農家の発酵糞肥料を利用して米・野菜農家が、農産物を作る。
3.米農家が栽培した飼料を畜産農家に供給する。
*それぞれに過不足は、あっても基本的な体系を構築する

・環境問題と食料問題との関連
物を運ぶ(動かす)には、エネルギーが必要になります。
地産地消は、運送エネルギーが最小ですむわけですから、環境問題に貢献できると考えます。
食料自給率40%を向上するには、・・・・私には、答えが見つかりません。
上に書いた気になる状況や現象から考えると、食料の輸入ができなくなる可能性が否定できません。
ほとんどの国は、自分の国民の食料が不足したら輸出はしなくなると推測しますし、日本もそうすると考えます。そのような、食料が輸入できない状況になれば、間違いなく自給率は増えますが、当然大混乱が予想されます。
そのような状況になる前に、能動的な地産地消・循環型農業ができる方向を模索していくことが必要と考えます。

9.皆さんからの質問と返答

・実家が農家なので、野菜で700万円以上も売上げがあるのは、ありえないと思った。

回答:1日2万円360日の売上げで720万円になります。
仕入れ値100円(150円売価)で売れる野菜を200袋、つくれば良い訳です。
仕入れ値100円(150円売価)で買ってもらえる付加価値をつけて、理解してもらえることが、難しいですが工夫すれば可能です。

・最近は、販売も安定したと言われましたが、最初はどうだったんですか?
そういった形態で販売する農家はおおいのですか?

回答:上記の講義資料のような売上げです。良い品でも、知ってもらうまでは、他の野菜より高い野菜と思われて、なかなか売れませんでした。
委託販売の形態は、最近多いです。普通の農家も地場野菜で売っています。

・選挙の話で貧しい人は補助がないと出られないのではないでしょうか?

回答:選挙費用は、補助なしで20万円くらいで可能です。今回の自分の広告をご覧ください。
選挙カーは、自転車で対応可能ですが、ポスター代は十数万円必要です。
あと、市議会議員の場合30万円の供託金(一定以上の得票で返還)が必要です。
選挙費用の寄付も可能ですので、自費でも可能な金額と思いますが、ポスター費用の最低金額の10万円ぐらいの補助までかなと、個人的には考えます。

・国が進めている集団営農についてどう考えているのか?

回答:国は、補助金を集団営農に限定したり、集団営農にすることで生産性があがり、外国と対応できるようなイメージをもたせ進めていますが、数年後、補助金が打ち切られても経営が成り立つように考えて、企画行動できるかが重要です。
規模の違いは絶対的で、コンボトラックで収穫する映像を見ると、生産性で勝ちようがないです。
土地の価格や地域性の違いは、どうしようも対応のしようがないです。
加工や付加価値をつけて販売先まで開拓できる営農団体だけが生き残れると思います。
私は、補助金をあてにしていませんので、現状は、個人で経営しています。
ただ、地域に必要性が生まれ、上記の条件は満たせれば、参加するのはおもしろいと思います。

・売れ残りの野菜の行方はどうしていますか?

回答:販売店の場合は、鮮度が落ちたら見切り(30%や50%引き)し、それでも残ったら廃棄になります。廃棄業者が引き取り、処分場行きですね。(大体の場合)
うちの場合は、収穫日に販売した残りは、翌日値引き(約30%)し、翌々日に回収します。
回収する野菜の鮮度は、通常に販売されている野菜と同等以上ですので、自宅で食べたり試食用にあげたりしますが、翌日値引きでほとんど売れてしまい、回収は少ないです。

・葉物野菜が傷つきにくい栽培法を詳しくしりたい。
もっと、農業の話を聞きたかった。
ファーマーズマーケットをつくるとしたら、提案を教えてください?

回答:栽培方法や農業の内容は、HPをごらんください。詳しく書いてあります。
それで、質問があればメールください。お答えします。
ファーマーズマーケットは、野菜・果物を買いに来られる方が中心で、スーパーとは、全く考え方が違います。新鮮さはすべてに求められますが、安さ、珍しさが、先に来て、欠品しない事や品揃えは、後になると感じてます。
安い物がある・楽しい・美味しい・こだわりがある店つくりではないかと思います。

・北京周辺の村の事情を中国の人は知っているのか?対策は立てているのか?
森田農園の規模はどのくらいか?

回答:テレビの内容から推測すると、知っていないと思いますし、対策も立ててないと思います。
北京市内では、無駄な水を使わないように監視委員をおいて、その業務の内容を放送していましたが、市民は無関心でした。
北京市民の地方を犠牲にした水の無駄遣いと日本の食糧の無駄遣いが重なりました。
森田農園の規模は、ハウス面積18アール+米作1ヘクタールです。

・これからの農業は大丈夫なのでしょうか?
また規模を大きくして薄利多売で生き残る選択肢は、ないのでしょうか?

回答:このままいけば、農家は減り、農地も減り、でしょうが、10年ぐらいの間には、食料の危機的な状況を経験して、踏みとどまるのではないのか?そうなってほしいと思います。
薄利多売もひとつの方法ですが、無理をすると危険性が大きくなりまし、規模を拡大しても利益は変わらないということもよく聞きます。私は、確実に一歩一歩を選びます。

・市長になったら、または、市議会議員に当選したら何をしますか?

回答:現状では詳しい回答はできません。
基本的な考え方は、HPの「鈴鹿市の課題を考える」をご覧ください